梅雨になると、A1 miniの糸引きやボソボソが急に増えることがあります。私の体験をもとに、無理なくできる湿気対策を整理します。

はじめに 〜乾燥させただけで印刷が変わった話〜
私はBambu Lab A1 miniとP1Sの2台を使っています。普段の小物印刷はA1 mini、エンクロージャーが必要なABS/ASAやナイロン系を扱うときはP1Sという役割分担です。
今回の「糸引きやボソボソが急に増えた」体験は、メインで動かしているA1 mini側で起きた話です。
ある時期から、印刷が急にボソボソしたり、糸引きが目立ったりすることが何度かありました。
スライサー設定も、モデルも、フィラメントの銘柄も変えていないんです。それなのに、同じ条件で印刷したはずの造形だけが急に荒れることがありました🤔
最初はノズルかな?ベッドかな?と疑っていました。
でも、ふと「フィラメントが湿気を吸ったのかも」と思って、SUNLUのドライヤーで一晩乾燥させてから、もう一度同じデータを印刷してみたんです。
すると、糸引きやボソボソ感がかなり改善しました。
もちろん、すべての不調が湿気だけで説明できるわけではありません。でも、似たケースが何度かあって、「あ、湿気ってかなり影響するんだな」と腑に落ちた瞬間がありました✨
そして日本には、この「フィラメントが湿気を吸いやすい季節」が毎年あります。
そう、梅雨です。

この記事で分かること
この記事では、A1 miniユーザー目線で、梅雨前に知っておきたい湿気対策をまとめます。
① なぜ梅雨時期に印刷品質が落ちやすいのか
② 湿気を吸ったフィラメントに出やすいサイン
③ フィラメント別の乾燥温度と時間の目安
④ 私が使っているSUNLU 4本入りドライヤーの実感
⑤ ドライボックスや湿度計をどう考えるか
⑥ シリカゲルの使い方と再生方法
⑦ 梅雨期に続けやすい使い方
⑧ やってはいけないことと、低コストで揃える順番
いきなり完璧な保管環境を作る話ではありません。
「まず何からやれば失敗が減るのか?」を、かなり現実寄りで整理していきます!
① なぜ梅雨が3Dプリンタの敵になるのか

関東甲信の梅雨入りは平年で6月7日頃、梅雨明けは7月19日頃です。だいたい1か月半くらい、雨や湿気を意識する時期が続きます。
東京の6〜7月の平均湿度は平年で75%前後です。日中ずっと80〜90%という意味ではありませんが、雨の日や夜間は湿度が高くなりやすく、フィラメント保管にはかなり気を使う季節です。
「3Dプリンタって電気で動くから、湿気はあまり関係ないのでは?」と思う方もいるかもしれません。
でも、問題は本体よりもフィラメントです。
フィラメントは、素材によって水分を吸いやすさが違います。特にPETG、TPU、ナイロン系は湿気の影響を受けやすい素材として知られています(ナイロン系は基本的にP1Sのような密閉エンクロージャー機で扱うイメージです)。
「PLAは大丈夫」と言われることもありますが、PLAも無関係ではありません。乾燥させることで糸引きや表面の荒れが改善するケースがあります。A1 miniで扱うことが多いPLAやPETG、TPUでも、十分この記事の話は効いてきます。
何が起きているかを簡単に言うと、フィラメントの中に入った水分が、ノズル内の高温で一気に水蒸気になります。
その水蒸気がノズル先端で小さな泡のように出て、糸引き、気泡、吐出の乱れ、表面の荒れ、層の接着低下につながることがあるんです。
② 湿気を吸ったフィラメントに出やすいサイン

湿気を吸ったフィラメントかどうかは、次のようなサインで気づけることがあります。
① 糸引きが急に増える
② ノズルから「ポポポ」「パチパチ」という音がする
③ 造形物の表面に小さな穴や泡っぽい跡が出る
④ 表面がボソボソした感じになる
⑤ 層と層のくっつきが弱くなる
⑥ 押し出しが不安定になる
⑦ 前回きれいに出たデータなのに、急に品質が落ちる
私が一番よく感じたのは、糸引きと表面のボソボソ感でした。
同じデータで前回はきれいに出ていたのに、突然こういう症状が出たら、まず「湿気かも?」と疑ってみる価値があります。
ここで大事なのは、湿気と決めつけすぎないことです。
ノズル、温度、リトラクション、フィラメント送り、ベッド汚れなど、他にも原因はあります。ただ、乾燥は比較的試しやすいので、原因を探すときの最初の一手としてかなり便利なんです💡
③ フィラメント別 乾燥温度・時間の目安

フィラメントは素材ごとに、乾燥温度と時間の目安が変わります。
まずは一般的な目安として、こんな感じで考えると分かりやすいです。
・PLA: 45〜55℃ × 4〜8時間
・PETG: 55〜65℃ × 6〜12時間
・TPU/TPE: 50〜70℃ × 4〜8時間
・ナイロン/PA: 70〜80℃ × 12〜24時間以上
・ABS/ASA: 60〜80℃ × 4〜12時間
A1 miniで普段触るのは上の3つ(PLA・PETG・TPU)が中心になると思います。ナイロン/PAやABS/ASAは、私の場合P1S側で扱うときに参考にしている数値です。
ここはかなり大事な点として、最終的には「使っているフィラメントのメーカー推奨値」を優先してください。
同じTPUでも、メーカーによって推奨温度が違います。Bambu Labの一部TPUでは70℃乾燥が案内されている一方で、別メーカーではもっと低い温度を推奨していることもあります。
ナイロン系は特に吸湿しやすいので、乾燥前提で扱うくらいがちょうどいいと思っています。私はナイロンを使うときはP1S+AMSと一緒に運用するようにしています。
注意点として、乾燥機ごとに表示温度の精度はけっこう違います。なので「推奨温度を超えずに、必要なら時間を少し長めにする」くらいが安全です。
高すぎる温度にすると、フィラメントやスプールが変形することがあります。ここは慎重にいきましょう⚠️
④ 私が使っているSUNLU 4本入りドライヤーの実感

私が実際に使っているのは、SUNLUの4本同時に乾燥できるタイプのフィラメントドライヤーです。
最初は「1本ずつ乾燥できれば十分かな」と思っていました。
でも、実際に使ってみると、4本同時に入れられるのはかなり便利でした。
理由は単純で、1本ずつ乾燥するやり方だと「今日使いたいフィラメント」と「今乾燥しているフィラメント」がズレやすいんです。
その結果、面倒になって乾燥せずに使ってしまうことが増えます。
4本同時に乾燥できると、寝る前にまとめてセットして、翌朝そのまま印刷する流れが作りやすいです。
私の場合、「乾燥させたら糸引きやボソボソ感がかなり減った」という体験を何度かさせてくれたのが、このSUNLUのドライヤーでした。
今では梅雨が近づくと、「使いたいフィラメントを前夜にまとめて乾燥させる」という流れをかなり意識するようになっています。
ただし、乾燥させた後にむき出しでテーブルに置いておくと、また湿気を吸い始めます。
乾燥したらすぐ使う
使わないなら密閉する
長期保管するなら乾燥剤と一緒に保管する
この3つはセットで考えた方がいいですね📦
印刷しながら乾燥できるドライヤーや、EIBOS Cyclopesのような別タイプの候補もあります。ここは使い方や予算に合わせて選べばOKです。
⑤ ドライボックスと湿度計について

ここは正直に書きます。
私は昔、100均で買ったプラスチックのボックスに湿度計を入れて、簡易ドライボックスを作って使っていました。
ただ、そのボックスを買ったのは5年以上前です。
当時は「100均の箱でそれっぽく作れるじゃん!」という感覚だったのですが、今は物価も上がっていますし、100均でも大きめの収納ボックスは110円では買えないことが増えています。
なので、この章は「昔の私の自作経験」と「今あらためて調べた選択肢」を分けて読んでもらえると嬉しいです。
まず、低コストで始めるなら、密閉できるプラスチックのボックスにシリカゲルと湿度計を入れるだけでも第一歩になります。
私が昔作ったものも、基本はこの形でした。
ただし、フィラメントスプールは意外と大きいので、買う前に内寸を確認した方が安全です。特に幅と高さが足りないと、ふたが閉まりません。
自作ドライボックスの例として名前が挙がることがあるのが、「イノマタ化学 乾物ストッカー」シリーズです。
フィラメントスプール1本を入れやすいサイズ感のものがあり、穴を開けてチューブを通し、簡易ドライボックスとして使っている例があります。
ただ、これは「全員が知っている定番」と言い切るより、「自作用として使っている人がいる選択肢」くらいに捉えるのが近いと思います。
大容量で複数本まとめて管理したい場合は、ナカバヤシのキャパティ27Lクラスのような密閉ボックスに、シリカゲルと湿度計を入れて管理する方法もあります。
湿度計はかなり重要です。
ドライボックスの中に1つ入れておくと、「本当に乾燥した環境になっているのか?」が見えるようになります。
目標としては、まず20%RH以下を狙うと分かりやすいです。うまく環境が作れるなら、10〜15%台まで下げられることもあります。
とはいえ、最初から全部そろえる必要はありません。
今から始めるなら、まずは手持ちの密閉容器や安めの収納ボックスで試す。それで足りなければ、フィラメントに合うサイズの容器や専用ドライボックスに移る。
このくらいの順番が、無理なく始めやすいと思っています!
⑥ シリカゲルの使い方と再生
ドライボックスを使うなら、シリカゲルとの組み合わせがほぼ前提になります。
おすすめされることが多いのは、「色が変わるタイプ」のシリカゲルです。
乾燥しているときと、湿気を吸ったときで色が変わるので、再生のタイミングが目で分かりやすいです。
再生方法は製品によって違いますが、よくあるのは次のような方法です。
① 電子レンジ対応の容器に移して、短時間ずつ様子を見ながら加熱する
② オーブンで110〜120℃前後、1〜2時間ほど加熱する
③ 完全に冷ましてから密閉容器に戻す
ここで注意したいのは、袋や容器が加熱に対応しているかです。
袋ごと電子レンジに入れていいかは製品によって違います。金属部品があるものや、電子レンジ非対応の袋は危険なので避けてください。
また、加熱中は放置しすぎない方が安心です。シリカゲル自体より、袋や容器側の耐熱性に注意ですね⚠️
ドライボックスには、ケチらず多めに入れるのが基本です。
ただし「何袋なら絶対OK」というより、湿度計を見ながら足していくのが一番確実です。
⑦ 梅雨期に続けやすい使い方

ここでいきなり完璧な保管の流れを作ろうとすると、たぶん続きません。
私が現実的だと思っているのは、まずこのくらいの流れです。
① 印刷でボソボソや糸引きが出たら、まず湿気を疑う
② 該当フィラメントをドライヤーに入れて、メーカー推奨温度で一晩乾燥する
③ 翌朝、同じデータで印刷し直す
④ 改善すれば湿気の可能性が高い
⑤ 改善しなければ、スライサー設定、ノズル、温度、ベッド状態を見直す
これだけでも、梅雨期の「原因がよく分からない品質低下」で、何が悪さしているのか順番に見ていきやすくなります。
理想を言えば、
印刷終了
→ すぐ密閉保管
→ 次回印刷前に乾燥
→ 印刷中もなるべくドライな環境を保つ
という流れがきれいです。
でも、最初からここまでやろうとすると大変です。
大事なのは、「乾燥という選択肢を持っていること」と「失敗したときに湿気を疑えること」だと思っています。
まずはSUNLUのようなドライヤー1台で「困ったら乾燥」を覚えるだけでも、かなり気持ちが楽になりますよ✨
⑧ やってはいけないことと、低コストで揃える順番

最後に、湿気対策で気をつけたいことと、揃える順番をまとめます。
まず、やらない方がいいことはこちらです。
① 電子レンジでフィラメントを直接温める
② オーブンを目測の「なんとなく温度」で使う
③ ふたを開けたままの容器にシリカゲルだけ入れて満足する
④ PETG・TPU・ナイロンなど吸湿しやすい素材を、湿ったまま使い続ける
フィラメントを電子レンジで直接温めるのは避けた方がいいです。変形や加熱ムラのリスクがあります。
オーブンを使う場合も、温度計なしで「たぶんこのくらい」はかなり危ないです。高すぎるとフィラメントやスプールが変形します。
PETGやTPU、そしてP1S側で扱うナイロンは、湿ったまま使うと外観や強度が落ちることがあります。特に強度が必要な部品では注意したいですね。
低コストで始めるなら、私はこの順番で揃えるのが現実的だと思います。
① まずフィラメントドライヤー
② シリカゲル変色タイプと小さめの密閉ボックス
③ デジタル湿度計
④ 必要に応じて専用ドライボックス
⑤ 印刷しながら乾燥できるタイプを検討する
最初から全部そろえなくても大丈夫です。
まずは「乾燥できる手段」を持つだけで、梅雨時期の不安はかなり減ります。
まとめ: 湿気を疑う癖があるだけで、梅雨の失敗は減らせる

今回の内容をまとめます。
① 関東甲信の梅雨は平年6月上旬から7月中旬頃まで続く
② 梅雨時期は湿度が高く、フィラメント保管に注意が必要
③ 湿気を吸ったフィラメントは、糸引き、気泡、表面荒れ、層の接着低下につながることがある
④ 乾燥温度と時間は、素材ごとの目安とメーカー推奨値を確認する
⑤ 私の場合、SUNLUの4本入りドライヤーで糸引きやボソボソ感がかなり改善した
⑥ ドライボックスや湿度計は、必要に応じて少しずつ揃えればOK
私自身、最初は湿気の影響をあまり意識していませんでした。
「最近なんか印刷の調子が悪いな」と思っていたものが、乾燥させるだけでかなり改善したときは、「あ、これだったのか!」とかなり驚きました。
梅雨入りまであと少しです。
今のうちにドライヤー1台、もしくは密閉保管とシリカゲルだけでも用意しておくと、6月以降の印刷トラブルを減らしやすくなると思います。
A1 miniもP1Sも扱いやすいプリンターですが、フィラメントの湿気までは自動で解決してくれません。
だからこそ、「困ったら乾燥」を1つの選択肢として持っておくと安心ですね✅
では、また次回。
今回紹介した製品
- SUNLU フィラメントドライヤー 4本同時乾燥タイプ — 私が実際に使っているタイプです
- シリカゲル 変色タイプ(オレンジ→緑) — ドライボックス用の乾燥剤候補です
- デジタル湿度計(小型) — 保管場所の湿度を見るための道具です
- イノマタ化学 乾物ストッカー — 自作ドライボックスの素材として使われることがある容器です
- EIBOS Cyclopes — 印刷しながら乾燥したい場合の候補です
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全媒体リンク
- YouTube: https://www.youtube.com/@3dbox203
- ポッドキャスト: https://open.spotify.com/show/7FvjC906Pe3lP1qWgKlpKO?si=ABnNL5IJTO2XQlZFIE_hxg
- Note: https://note.com/mar810
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