> ヤスリだけでは消せない凹みや隙間、パテを使えばかなり滑らかに仕上げられます。スプレーパテ・手塗りパテ・XTC-3Dの使い分けから、サーフェイサーの重要性、推奨ワークフロー6ステップまで徹底解説。
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ヤスリをかけても消えない凹みってありますよね。特に分割印刷の接合部とか、サポート跡が深く食い込んだ場所とか。あれ、どれだけ番手を上げても平らにはならないんですよ。物理的にそこに「穴」が空いているから。磨くだけでは限界がある。
でも大丈夫です。パテを使えば、その穴を埋めてかなり滑らかな面に仕上げられます。しかも100円ショップで買えるものから専用品まで、選択肢はたくさんあるんです。

こんにちは、まーです!
後加工マスターシリーズ第2回、今日のテーマは「埋める」です。パテとサーフェイサーを使って、サンディングだけでは届かない仕上がりを目指します。前回の「磨く」と合わせて使えば、プリント品の見た目が一気にレベルアップしますよ。
前回のおさらいと「順番が逆では?」の話

前回のサンディング編でお伝えした3つの鉄則、覚えてますか?
①番手を飛ばさない。前の番手の1.5倍から2倍以内で刻む
②#600以上は水研ぎ
③段階間の清掃を忘れない
この3つがサンディングの基本で、今日の「埋める」工程はその土台の上に乗っかる作業です。
ところで「普通はパテで埋めてから磨くんじゃないの?」という声をいただきました。これ、すごくもっともな疑問です。プラモデルや塗装の世界では「パテ→磨き」が王道ですし、実際の作業でもパテを盛った後にサンディングで整える工程は必ず入ります。
このシリーズで「磨く」を先にしたのは「技術の学習順」だからなんですよね。3Dプリント品の場合、積層痕の大部分はサンディングだけでかなり消せます。だからまず「ヤスリだけでどこまでいけるか」を知ってもらって、それでも消えない深い凹みだけをパテで埋める、という判断ができるようになってほしかった。いきなりパテから入ると、本来ヤスリだけで済む場所にまでパテを盛ってしまって、かえって手間が増えるんです。
そしてパテを塗る前にも表面を荒らすためのサンディングが必要だし、パテが硬化した後にもサンディングが必要。つまりサンディングの技術がないとパテの工程もうまくいかない。だから先にサンディングを覚えてもらった方が、今日の内容もスムーズに実践できるというわけです。
今日の構成 ─ 5本立て

今日は5本立てで進めていきます。
①スプレーパテ ─ 広い面を一気にカバーするやつ
②手塗りパテ ─ 深い凹みをピンポイントで埋めるやつ
③XTC-3D ─ 塗るだけで表面が平滑化するコーティング剤
④サーフェイサー ─ 塗装前の下地処理
⑤推奨ワークフロー6ステップ
「パテ」ってひとことで言っても実はいろんな種類があって、素材ごとに得意な場面がまったく違うんですよね。間違った場面で使うと逆効果になることもある。だから「この状況にはこれを使う」という判断基準をしっかり押さえていきましょう。
スプレーパテ ─ 広い面を手軽にカバー

まずスプレーパテから。これ、名前にパテとついてますけど、使い方は完全にスプレー缶です。シューッと吹くだけで微細な凹凸を埋めてくれる。サーフェイサーとパテの中間的な存在と考えるとわかりやすいと思います。
定番は「ホルツ MH119」、1,100円くらいで手に入ります。もともとは自動車のボディ補修用品なんですが、3Dプリントの後加工との相性が抜群にいい。ホームセンターのカー用品コーナーに置いてあります。
スプレーパテの鉄則 ─ 薄塗り3回

スプレーパテで一番やってはいけないのが、厚塗り一発です。「一回で厚く塗って終わらせよう」と思いがちなんですけど、これをやると乾燥時に溶剤が抜けて収縮して、「ヒケ」という凹みができてしまうんですよね。凹みを埋めるために塗ったのに新しい凹みができる。完全に本末転倒です。
正しいやり方は「薄塗り3回」。これだけ覚えてください。たとえばHoltsのスプレーパテなら、重ね塗りの乾燥は約20分、研磨までは約60分が目安です。細かい時間は製品表示に従ってください。薄く吹いて、表示どおり待って、また薄く。3回目を吹いたらしっかり乾燥させてから#400で軽く研磨する。
感覚的には、1回あたりの塗膜が「うっすら色がついたかな?」くらいで十分です。透けてて不安になるくらいでちょうどいい。
手塗りパテ ─ 深い凹みをしっかり埋める

大きな凹みや隙間には、スプレーパテでは歯が立ちません。スプレーパテは膜厚が薄いので、深い穴は何度塗っても埋まらないんですよね。ここで手塗りパテの出番です。
定番は「タミヤ ポリエステルパテ」、800円くらい。プラモデル用ですけど、多くのFDMプリント品で使いやすいです。主剤と硬化剤を混ぜてヘラで塗り込むタイプで、硬化後はカチカチになるのでサンディングもしやすい。
特に分割印刷した部品の接合面には、この手塗りタイプが最適です。合わせ目の段差とか、接着剤がはみ出した跡とか、深さのある凹みをしっかり埋められる。硬化したら#200から粗く研磨して、#400まで上げていく流れですね。
XTC-3D ─ 塗るだけで表面が滑らかに

ここからが今日の目玉です。「Smooth-On XTC-3D」、4,500円くらい。2液を混合して刷毛で塗るだけで、表面が自己平滑化してくれるコーティング剤です。
これの何がすごいかというと、サンディングの手間を大幅にカットできるんですよね。塗った液が重力で凹みに流れ込んで、勝手にならしてくれる。言ってみれば「セルフレベリング」です。
特に曲面の多いフィギュアとか、入り組んだ形状のパーツに威力を発揮します。ヤスリが物理的に届きにくい場所も塗るだけで滑らかになる。手作業だとかなり時間がかかるところを大幅に短縮できたりします。
XTC-3Dの注意点

ただしXTC-3Dにも注意点がいくつかあります。
まず厚塗りはNG。公式でも各層は薄く、1/64インチ未満が推奨されています。厚く塗ると硬化時の発熱で気泡ができて、塗る前より表面が荒れるという最悪の結果になりかねない。
次に、混合してからの作業時間が約10分。これを過ぎるとどんどん粘度が上がって塗りにくくなります。だから少量ずつ混合して、手早く作業するのが鉄則です。初めて使う方は、テストプリントの小さいピースで感覚を掴んでから本番に臨んでください。
100均UVレジンの隠し技

ちょっとした裏ワザをひとつ。ダイソーのUVレジン、たった110円。これがピンポイントの穴埋めにすごく便利なんですよね。
小さな気泡跡とか、ネジ穴の周りの微細な隙間とか。パテを練るほどじゃないけど、放っておくと塗装後にポツポツ目立ってしまう、そういう細かい欠陥に最適です。
使い方は簡単で、UVレジンを爪楊枝で少量詰めて、UV LEDライトを当てれば硬化完了。ライトの種類と厚みによりますが、数十秒から数分で固まります。あとは軽くサンディングするだけ。ただし広い面や厚盛りには向かないので、あくまでピンポイント補修向きと覚えておいてください。110円で試せるので、ぜひ一度使ってみてください。
サーフェイサー ─ 仕上がりの8割が決まる

ここからサーフェイサーの話です。地味に聞こえるかもしれませんが、ここが実はめちゃくちゃ大事。
サーフェイサーには3つの役割があります。
①微細な傷の充填 ─ サンディングやパテ処理の後に残った小さな傷を最後の一押しで埋めてくれる
②塗料の密着性向上 ─ 素材と塗料の間に入って接着剤のような役割を果たす
③色ムラの均一化 ─ 下地の色を統一して上に塗る色がきれいに発色する
正直に言うと、仕上がりの8割はサーフェイサーで決まると僕は思っています。
サーフェイサーの選び方

定番は2つ。「タミヤ ファインサーフェイサーL」は表面を整える下地として優秀。「Mr.プライマーサーフェイサー1000」は密着性を助けるプライマー成分入り。どちらもだいたい数百円から千円前後で手に入ります。
色の選び方にもコツがあって、仕上げが白や明るい色なら白サーフェイサー。暗い色ならグレー。メタリック系なら黒が有力です。迷ったらグレーが万能。最初の1本なら間違いなくグレーをおすすめします。
下地なしの塗装は危険

ここ、本当に重要なので強調させてください。PLAは塗料が食いつきにくい素材なんですよね。表面がツルツルしていて、塗料がしがみつく「足場」が少ない。
PLAに直接塗れないわけではありませんが、下地なしだと密着や発色、耐久性が不安定になりやすいです。しばらくすると塗膜が剥がれやすくなったり、爪でちょっと引っかいただけでベロッと取れたりすることがある。
きれいに長持ちさせたいなら、サーフェイサーやプライマーは入れておくのが無難です。ここは手を抜かないことをおすすめします。
推奨ワークフロー ─ 6ステップで下地完成

ここまでの内容を踏まえた推奨ワークフローを6ステップでまとめます。
①大きな凹みや隙間があれば、手塗りパテで埋める
②スプレーパテを薄塗り3回。浅い積層痕を広範囲にカバー
③#400で研磨。パテの表面を平らに整える
④#600から#800で仕上げ研磨。水研ぎでやると仕上がりが良い
⑤サーフェイサーを2コート。薄く2回に分けて吹く
⑥いよいよ塗装工程へ
毎回全部やる必要はなくて、状況に応じて省略できます。浅い凹みだけなら①を飛ばしていいし、XTC-3Dを使うと中間工程を減らせることもあります。パーツの状態を見て柔軟に判断してください。
初期投資は意外と安い

今日いろいろ紹介しましたけど、全部揃えなきゃと思うとハードルが高く感じるかもしれません。でも必要最低限なら意外と安いんですよ。
神ヤス504円、ホルツのスプレーパテ1,100円、サーフェイサーは数百円から千円前後。この基本3点セットで合計2,000円台前半くらいです。
XTC-3Dは4,500円とちょっと値が張りますが、1本で相当な面積をカバーできるので、頻繁に後加工をする人にはコスパがいいと思います。
今日のまとめ ─ 3つの鉄則

①スプレーパテは「薄塗り3回」が鉄則。一度に厚く吹くと乾燥時の収縮でヒケが出ます。「うっすら色がついたかな」くらいの薄さで、製品表示の乾燥時間を守って3回重ねるのが正解です。
②XTC-3Dは時短の強い味方。特に曲面や入り組んだ形状で威力を発揮しますが、各層は薄く塗るのが公式推奨。作業時間が約10分しかないので、少量ずつ混合して手早く塗ることが鉄則です。
③サーフェイサーは手を抜かないでほしい工程。PLAは塗料が食いつきにくい素材です。きれいに長持ちさせたいなら省略しないのが無難です。
次回はいよいよ第3回「塗る」。アクリル塗料、ラッカー塗料、スプレー缶の使い分けから、きれいに塗るコツまでお伝えします。
このチャンネルでは、Bambu LabのA1 miniなどの3Dプリンターを中心とした技術などを毎日更新でお伝えしてます。では、また次回お会いしましょう。まーでした。
今回紹介した製品
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画像挿入マップ(編集用メモ)
| 画像ファイル | 挿入位置 | 内容 |
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| scene/001.png | H1直後 | フック ─ 凹みが消えない悩み |
| scene/002.png | オープニング後 | まーです!第2回テーマ紹介 |
| scene/003.jpg | 前回のおさらい | サンディング3つの鉄則 |
| scene/004.jpg | 今日の構成 | 5本立ての流れ |
| scene/005.png | スプレーパテとは | ホルツ MH119紹介 |
| scene/006.png | スプレーパテの鉄則 | 薄塗り3回 |
| scene/007.png | 手塗りパテ | タミヤポリエステルパテ |
| scene/008.png | XTC-3D | セルフレベリング解説 |
| scene/009.png | XTC-3D注意点 | 厚塗りNG・作業時間10分 |
| scene/010.png | 100均UVレジン | ダイソーUVレジンの裏ワザ |
| scene/011.jpg | サーフェイサーとは | 3つの役割 |
| scene/012.png | サーフェイサー選び方 | タミヤ vs Mr.プライマー |
| scene/013.jpg | 下地なし厳禁 | PLA塗料剥がれリスク |
| scene/014.png | 推奨ワークフロー | 6ステップで下地完成 |
| scene/015.jpg | 道具を揃える | 基本3点セット2,000円台 |
| scene/016.png | 今日のまとめ | 3つの鉄則 |

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