> 3Dプリント品の塗装、実は2,500円あれば始められます。アクリル・ラッカー・エナメルの違い、スプレー缶の距離と速度、筆塗りの強み、クリアコートの選び方まで、初心者が知るべき塗装の基本を全部まとめました。
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前回までで磨いて埋めて下地を作った。ここからが本番です。色を塗れば「プリント品」が「作品」に変わりますよ。

こんにちは、まーです!
後加工マスターシリーズ第3回、今日のテーマは「塗る」です。塗装って聞くと、エアブラシとか専用の塗装ブースとか、設備が必要で大変そうなイメージがあるかもしれないですけど、実はスプレー缶1本あれば十分始められるんですよね。必要な予算も2,500円くらいから。しかも水性アクリル系ならラッカーより臭いが少なくて扱いやすい。ただし室内でも換気は前提ですけど、思ってるよりハードルはずっと低いんです。
今日のエピソードを最後まで読んでもらえれば、「自分にもできそうだな」って思ってもらえるはずです。
前回のおさらい

まずは前回までの内容をサクッとおさらいしておきますね。第1回で「磨く」、第2回で「埋める・下地を作る」をやりました。ポイントは3つでしたよね。
①番手を飛ばさない2倍ルールのサンディング。240から400、400から800と順番に上げていく
②パテは3種類を使い分ける。微細な積層痕にはスプレーパテ、大きな凹みには手塗りパテ、全体を一気に均すならXTC-3D
③サーフェイサーで塗装下地を完成させる
この3つの工程を経て、表面がツルツルのパーツが手元にあるはず。ここまでが「下ごしらえ」で、今日からが「味付け」のフェーズです。サーフェイサーを吹いた状態のパーツがあるという前提で進めますね。
今日の構成 ─ 5つのパート

今日お話しする内容は5つのパートに分かれています。
①塗料3種の違い。アクリル、ラッカー、エナメルって何が違うのか
②スプレー缶テクニック。距離、速度、コート回数の基本
③筆塗りの意外な強み。「下手」じゃなくて「選択肢」としての筆塗り
④クリアコートで保護と質感をコントロールする方法
⑤安全対策。塗装は楽しいんですけど、溶剤を扱う以上は安全面を無視しちゃダメなんですよね
最後にマルチカラー印刷との使い分けや、2,500円で始められるスターターキットの話もします。かなり盛りだくさんですけど、1つ1つは難しくないので安心してくださいね。
塗料3種の違い ─ アクリル・ラッカー・エナメル

模型用塗料は大きく3種類あります。
まず「アクリル塗料」。初心者はまず水性アクリル系からがおすすめです。PLAには一番相性がいい。臭いが少なくて扱いやすいし、失敗しても乾く前なら水で拭き取れるんですよね。ただし水性でも換気は心がけてくださいね。初心者には本当にありがたい特性です。
次に「ラッカー塗料」。発色の良さと隠蔽力、それから乾燥の速さでは最強です。プロの模型師さんにラッカー愛用者が多いのも納得の性能なんですけど、1つ大きな注意点があって、ラッカーの溶剤はPLAとの相性問題が出ることがあるんですよ。だからまずサーフェイサー越しで塗ること。直接PLAに吹いちゃダメです。
最後が「エナメル塗料」。これはスミ入れとかウォッシングっていう、モールドの細部を強調するテクニック専用と思ってもらっていいです。エナメルの溶剤も下地や素材によってはダメージの可能性があるので、まず目立たないところで試すのが基本。初めての塗装には向きません。
結論としては「迷ったらアクリルから始める」が鉄板ですね。
アクリル塗料の世界 ─ タミヤ・ファレホ・シタデル

アクリル塗料にもいくつかブランドがあるので、代表的なものを紹介しますね。
まず「タミヤアクリル」。プラモデル界の超定番で、1瓶200円くらいから。色の種類が豊富で、ホームセンターや模型店ですぐ手に入ります。筆塗りでもスプレーでも使える万能選手。
次に「ファレホ」。スペインのブランドで、1本400円くらい。スポイト式の容器が特徴で、必要な量だけ出せるから無駄が少ないんですよ。発色がとても良くて、ミニチュアゲーム界隈では大人気です。
そして「シタデルカラー」。イギリスのゲームズワークショップが出している筆塗り特化型の塗料で、1瓶600円前後。ベースコート、レイヤー、シェイドっていう段階が分かれていて、順番に塗るだけでそれっぽい仕上がりになる。筆塗り初心者にも使いやすい設計です。
どれを選んでも水性系で比較的扱いやすいし、道具は水洗い可能ですよ。ただし換気はしっかりお願いしますね。
ラッカー塗料の注意点 ─ Mr.カラー・ガイアカラー

ラッカー塗料についてもう少し詳しくお話しします。代表的なブランドは「Mr.カラー」と「ガイアカラー」の2つですね。ラッカーは乾燥が速くて発色が強い。乾燥が速く作業性が高いので、複数の色を塗り分けたい時には効率がすごくいいんですよ。プロの模型師さんがラッカーを好む理由はそこにあります。
ただし、PLAユーザーが絶対に守らなきゃいけないルールが1つ。「サーフェイサーの上からしか塗らない」こと。ラッカーの溶剤がPLAを侵して、表面がベタベタになったり最悪ヒビが入ったりします。前回の工程でサーフェイサーを吹いていれば、それがバリアになるので大丈夫です。
あと換気は必須。ラッカーシンナーの臭いはかなり強烈なので、窓を開けるだけじゃなくて換気扇を回すか、できれば塗装ブースを使ってほしいです。冬場に窓を閉め切ってラッカーを吹くのは本当にやめてください。健康あってのホビーですから。
スプレー缶塗装テクニック ─ 4つのコツ

スプレー缶塗装の具体的なコツを4つお伝えします。
①「距離は25cmから30cm」。これ、実際にやってみると意外と遠いんですよね。でも近すぎると液が溜まって垂れるし、遠すぎると表面がザラザラのミカン肌になっちゃう。最初は定規で測ってみてください
②「一方向にスイング」。左から右にシュッと動かして、パーツの外側まで振り抜く。パーツの上で手を止めると、そこだけ厚くなって垂れの原因になります
③「薄塗り2回から3回」。1回で仕上げようとしないこと。コート間は10分から15分、指で触ってベタつかなくなるまで乾燥を待ちます
④環境条件。高温多湿を避けるのが基本です。湿度が高いと塗膜が白くかぶる「白化現象」が起きることがあるので、梅雨時は特に注意してください
あと忘れがちなのが塗装前の脱脂。IPAで表面をサッと拭いておくだけで、塗料の乗りが全然違いますよ。
初心者がやる3大失敗

スプレー塗装で初心者がやりがちな失敗を3つ紹介します。
①「厚塗り」。1回で完璧に色を乗せたくなるんですけど、それをやると液垂れしたり気泡ができたりして仕上がりが台無しになるんですよね。塗装は「薄く何回も」が鉄則です。焦りは最大の敵
②「近すぎ」。スプレーをパーツに近づけすぎると、局所的に塗料が溜まって液垂れになる。特に角や端っこに溜まりやすいんです。25cm離すのが基本
③「脱脂忘れ」。サーフェイサーまでキレイに仕上げたのに、素手でベタベタ触った後にスプレーしちゃう。指の脂が残ったところだけ塗料がはじかれて、まだらになるんですよ。IPAで拭くか、ニトリル手袋をしたまま作業するのがベストです
この3つを避けるだけで、仕上がりがかなり変わります。最初は段ボールとかいらないパーツで練習してみるのがおすすめですよ。
筆塗りの意外な強み

「筆塗りはムラになる」「初心者っぽい」って思われがちなんですけど、実はけっこう強みがあるんですよ。確かに筆塗りはスプレーより厚塗りになりやすい。でもその分、積層痕を目立ちにくくする効果があるんですよね。条件にもよりますが、筆塗りを2〜3回重ねることで積層痕が場合によっては目立ちにくくなることもあるんです。
フィギュアやミニチュアの世界では、筆塗りがむしろ主流です。さっき紹介したシタデルカラーとかファレホは、まさに筆塗り専用に設計されていて、ムラになりにくい配合になってます。
スプレーは広い面を均一に塗る時に最強。筆塗りは細かいパーツの塗り分けや、少量だけ色を変えたい時に最強。両方使えるようになると表現の幅がグッと広がります。道具代も筆と塗料で1,000円もあれば十分始められるので、最初の1歩としてはスプレーより手軽かもしれないですよ。
下地の色と仕上がりの関係

ここでちょっと大事なポイントを1つ。サーフェイサーの色と最終的に塗る色の関係なんですけど、これを意識するだけで仕上がりが全然変わってきます。
明るい色で仕上げたいなら、白かライトグレーのサーフェイサーを使ってください。黄色、赤、パステルカラーなんかは下地が暗いと発色がくすんじゃうんですよね。何度塗り重ねても鮮やかにならない。それは下地の色が透けてるからなんです。
逆に暗い色やメタリック系で仕上げるなら、黒かダークグレーの下地がベスト。下地が黒だと、メタリック塗装の深みがグッと増すんですよ。
あと「ピンクサーフェイサー」っていうのもあって、これは赤系の塗装をする時に重宝します。赤って実は隠蔽力が弱い色で、白下地の上から塗ると何回重ねてもなかなか均一にならない。でもピンク下地なら少ない回数で鮮やかな赤が出せるんです。
クリアコート ─ 保護と質感のコントロール

塗装が終わったら、最後にクリアコートを忘れないでください。この工程をやるかやらないかで、作品の寿命と完成度が全然違います。
クリアコートの役割は2つ。1つは塗装面の保護。触っても塗料が剥がれないようにするし、小傷からも守ってくれる。もう1つが質感のコントロールです。
種類は3つあります。
①「光沢」クリア ─ フィギュアとか小物に使うとツヤツヤで映えます。メタリック塗装の上に吹くと、本物の金属みたいな輝きが出る
②「半光沢」 ─ 迷ったらこれを選べばOKな万能タイプ。自然な質感でどんな作品にも合います
③「つや消し」 ─ メカ系やミリタリー系に使うとリアルな素材感が出るんですよ。プラスチックっぽさが消えて、金属やコンクリートみたいな質感になる
クリアコートは使った塗料に合わせて選ぶのが大事です。水性塗料の上なら水性トップコート系、ラッカー系で仕上げているなら「Mr.スーパークリアーUVカット」も候補になります。窓際に飾る作品の紫外線による退色を防いでくれるんですよ。クリアコートは作品を長持ちさせる保険だと思ってください。
塗装の安全対策

ちょっと真面目な話をさせてください。塗装の安全対策についてです。有機溶剤を含む塗料は、長期間吸い込み続けると呼吸器に悪影響を及ぼすことがあります。ここだけは絶対に手を抜かないでほしい。
スプレー塗装やラッカーを使う時は、塗装用途に合った有機溶剤対応の呼吸保護具を使ってください。3Mの6000シリーズが定番で、有機ガス用の吸収缶がついた専用品がおすすめです。普通の不織布マスクでは溶剤の蒸気は素通りしますから、それでは不十分です。面体と吸収缶のセットでAmazonで5,000円くらいで買えますよ。
換気も絶対に必要。塗装ブースがなければ屋外でやるのが一番安全です。「アクリルは水性だから安全でしょ?」って思うかもしれないんですけど、完全に無害ではないので、筆塗りでも換気は心がけてください。ニトリル手袋も100枚500円くらいなので、ケチらず使い捨てしましょう。長くこの趣味を楽しむために、安全対策は本当に大事です。
マルチカラー印刷 vs 塗装

ここでAMS Liteユーザーの方向けに、マルチカラー印刷と塗装の使い分けについてお話しします。A1 miniにAMS Liteを付ければ、最大4色のフィラメントを自動で切り替えながら印刷できるじゃないですか。じゃあ塗装いらないんじゃないの?って思う方もいると思うんですけど、実はケースバイケースなんですよね。
AMS Liteが得意なのは「面で色が分かれるデザイン」。ロゴとか、幾何学模様とか、色の境界がはっきりしているものはマルチカラー印刷が圧倒的に楽です。
一方で塗装の方が表現しやすいのは「グラデーション」「メタリック」「透明感のある色」「ツヤ消しの質感」。こういう表現はフィラメントだけだと難しいことが多いんですよ。あとAMS Liteのカラーチェンジって廃棄フィラメントが出るので、色数が多いほどもったいない。
結論としては、両方を使い分けるのがベストです。
おすすめスターターキット ─ 2,500円で始める

「道具がいろいろ必要で大変そう」って思った方もいるかもしれないですけど、塗装に限れば最初に必要なのはたった3つ。合計2,500円くらいです。
①タミヤの「ファインサーフェイサーL」、880円。塗装の必須アイテムで、これがないと塗料の乗りが全然違う
②タミヤスプレーでお好きな色、770円。最初の1本はホワイトかガンメタルがおすすめ
③水性塗料で行くなら水性トップコート系、ラッカー系なら Mr.スーパークリアー、800円前後。迷ったら半光沢を選んでおけば間違いない
ランチ1回分くらいの値段ですよね。筆塗りルートなら、サーフェイサー880円、シタデルカラー600円、クリアー800円で合計2,300円くらい。これだけあれば「印刷しただけのパーツ」が「ちゃんとした作品」に変わりますよ。
まとめ ─ 今日のポイント3つ

今日のポイントを3つにまとめます。
①「迷ったら水性アクリルから始める」。臭いが少なくて扱いやすい。失敗しても水で拭き取れるので、初心者に一番やさしい塗料です。ただし換気は忘れずに
②「薄塗り複数回が鉄則」。スプレーでも筆でも、1回で仕上げようとしないこと。薄く塗って乾かして、もう1回塗って乾かす。この繰り返しがキレイな仕上がりの秘訣です。急がば回れ、ですね
③「クリアコートで保護する」。せっかくキレイに塗っても、クリアコートを吹かないと触っただけで剥がれたり、紫外線で退色したりする。最後の仕上げとして必ずクリアコートを吹いてください
この3つを押さえておけば、最初の塗装で大きな失敗はしないはずです。完璧を目指す必要はないので、まずは1つパーツを塗ってみましょう。
次回予告

次回はこのシリーズの最終回、第4回「くっつける」をお届けします。接着剤4種類の使い分け、3Dペンウェルディングっていう同素材溶接テクニック、そしてA1 miniの180mm制限を超える分割接合術。「大きいものが作れない」っていう悩みが一気に解決するエピソードです。
接着って地味に思えるかもしれないんですけど、実はかなり奥が深くて、素材によって最適解が全然違うんですよね。PLAに一番効く接着剤が何か、きっと驚くと思います。今日学んだ塗装テクニックと組み合わせれば、分割印刷の継ぎ目も完全に消せるようになります。全4回のフィナーレ、ぜひお楽しみに。

塗料の選び方からスプレー缶のテクニック、筆塗りの強み、クリアコートまで、塗装の基本を一通りお伝えしました。塗装って最初はドキドキするんですけど、1回やってみると「あ、こんなもんか」って思えるはずなんですよね。最初は小さなパーツで試してみてください。失敗してもフィラメント代しかかからないのが3Dプリントのいいところですから、何度でもやり直せます。
「塗装やってみたよ!」っていう報告や、おすすめの塗料があれば、コメントで教えてもらえると嬉しいです。
では、また次回。
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👇 Note(テキストでじっくり読みたい方)

今回紹介した製品
- タミヤ アクリルカラー
- ファレホ モデルカラー
- シタデルカラー ベースコート
- Mr.カラー(GSIクレオス)
- タミヤ ファインサーフェイサーL
- タミヤ カラースプレー
- Mr.スーパークリアー UVカット つや消し
- 3M 防毒マスク 6000シリーズ
- Bambu Lab A1 mini
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画像挿入マップ(編集用メモ)
| 画像ファイル | 挿入位置 | 内容 |
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| scene/001.jpg | H1直後 | フック ─ 色を塗れば作品に変わる |
| scene/002.jpg | オープニング | こんにちは、まーです! |
| scene/003.jpg | 前回のおさらい | サンディング・パテの3ポイント復習 |
| scene/004.jpg | 今日の構成 | 5つのパート紹介 |
| scene/005.jpg | 塗料3種の違い | アクリル・ラッカー・エナメル比較 |
| scene/006.jpg | アクリル塗料の世界 | タミヤ・ファレホ・シタデル紹介 |
| scene/007.jpg | ラッカー塗料の注意点 | Mr.カラー・ガイアカラー |
| scene/008.png | スプレー缶テクニック | 距離25cm・薄塗り3回 |
| scene/009.jpg | 初心者3大失敗 | 厚塗り・近すぎ・脱脂忘れ |
| scene/010.jpg | 筆塗りの強み | スプレーvs筆の使い分け |
| scene/011.jpg | 下地の色と仕上がり | サーフェイサー色選び |
| scene/012.png | クリアコート | 光沢・半光沢・つや消し |
| scene/013.png | 安全対策 | 防毒マスク・換気・手袋 |
| scene/014.jpg | マルチカラー vs 塗装 | AMS Liteとの使い分け |
| scene/015.jpg | スターターキット | 2,500円で揃える3点セット |
| scene/016.jpg | まとめ | 今日のポイント3つ |
| scene/017.jpg | 次回予告 | 第4回「くっつける」 |
| scene/018.jpg | エンディング | 締めのメッセージ |

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