みなさん、こんにちは!👋
前回の第1章では、AIが「魔法使い」や「神様」ではなく、超高速で確率を計算する「推論マシン」だというお話をしました🤖
そして記事の最後に、こんな「謎の計算式」を残したのを覚えていますか?
「ハンバーガー - アメリカ + イタリア = ?」🍔🇺🇸🇮🇹
普通に考えたら、食べ物から国を引き算するなんて意味が分かりませんよね(笑)。
でも、AIの世界では、この計算の答えは「ピザ(またはパスタ)」になるんです🍕
「えっ、どうしてそうなるの!?」😲
今日はそのカラクリを解き明かしていきます。
この仕組みを知ると、今まで単なる文字の羅列に見えていた言葉が、少し違った景色に見えてくるはずですよ✨
はじめに:コンピュータは「言葉」が大の苦手? 😫

まず大前提として、コンピュータは本来、言葉(日本語や英語)が全く理解できません。
彼らの世界には、「0」と「1」の電気信号しかないからです⚡️
私たち人間は、「愛」と言われれば温かい気持ちを想像できるし、「りんご」と言われれば赤い果物を思い浮かべます❤️🍎
でも、コンピュータにとっては、「愛」も「りんご」も、ただのデータの塊。そこに意味なんて感じていません。
では、どうやって私たちとお喋りしているのでしょうか?🤔
実はAIは、私たちの言葉を「数字」に変換し、さらに「地図上の座標」に置き換えるという、ものすごい翻訳作業を行っているんです!🔄
今日は、その翻訳プロセスを一緒に見ていきましょう。
1. 最初の翻訳:言葉を数字に変える「トークン化」 🔢

AIが文章を受け取ったとき、最初にする作業。
それは、文章を細切れの部品に分解することです。これを専門用語で「トークン化(Tokenization)」と呼びます🔪
例えば、「私はAIです」という文章があったとします。
AIはこれを、「私」「は」「AI」「です」……といった具合に、意味の通じる最小単位(トークン)にバラバラにします。
(※厳密には、「AI」を「A」と「I」に分けたり、もっと細かい「文字の部品」に分けたりすることもありますが、ここではイメージしやすく「単語のようなもの」と思ってください😌)
そして、AIの中には「巨大な辞書(コードブック)」のようなものがあり、すべてのトークンに「ID番号」が振られているんです📚
「私」 ➡ ID: 1024
「は」 ➡ ID: 0056
「AI」 ➡ ID: 8990
「です」 ➡ ID: 0321
こうして、私たちが書いた熱いメッセージも、AIの目には [1024, 0056, 8990, 0321] という、ただの「数字の羅列」として映ります💻
「なるほど、番号で管理しているのか!」💡
…でも、ちょっと待ってください✋
これだけだと、まだ「意味」は通じていませんよね?
ただ出席番号を振っただけのような状態です。
例えば、「りんご(ID:500)」と「みかん(ID:501)」の番号が近くても、それはたまたま辞書の順番が近かっただけで、意味が似ているとは限りません。
逆に、「りんご」と「アップル」は同じ意味なのに、番号は全然違うかもしれません😵
これでは、言葉の意味を理解したことにはなりませんよね。
そこで登場するのが、次のステップ。ここからがAIの魔法の本番です!✨
2. 意味の獲得:言葉が住む「魔法の地図」 🗺️

ID番号のままでは扱いにくいので、AIは言葉たちを「意味の地図」という広大な空間に配置し直します。
これを専門用語で「埋め込み(Embeddings)」と呼びます📍
イメージしてみてください。とてつもなく広い、何もない空間を。
ここに、何万個という言葉のボールを浮かべていくんです🎈
この地図には、ある「絶対的なルール」があります。
「意味の似ている言葉は、近くに住むこと」📏
「りんご」のボールのすぐ近くには、「みかん」や「バナナ」のボールが浮かんでいます(フルーツ地区ですね)🍎🍌
「王様」の近くには、「女王」や「王子」がいます(ロイヤルファミリー地区)👑
一方、「自動車」や「ロケット」は、「りんご」からずっと遠く離れた場所に配置されます🚗🚀
こうやって言葉を配置していくと、この空間は「言葉の意味を表す地図」になります。
AIにとって「言葉の意味を理解する」というのは、辞書の説明文を読むことではありません。
「その言葉が、地図上のどこの住所(座標)にあるかを知っている」ということなんです🧭
「りんご」という意味は、「座標(X=3.5, Y=9.2…)にあるもの」として処理されます。
私たち人間とは全く違う捉え方ですが、これによってコンピュータは「りんご」と「バナナ」は仲間で、「りんご」と「車」は他人だ、という関係性を数学的に理解できるようになるんです!🤝
3. ハンバーガーの謎解き:言葉は「ベクトル」で計算できる 📐

さあ、ここからがいよいよ本題。
冒頭の「ハンバーガーの計算」の謎解きです🕵️♂️
言葉が「地図上の点(座標)」になったということは、言葉と言葉の関係は「矢印(ベクトル)」で表せるようになります➡️
例えば、地図上で「男」という点から「女」という点へ移動する矢印をイメージしてください👨👩
そして別の場所で、「王様」から「女王」へ移動する矢印を見てみます👑👸
すると驚くことに、この2つの矢印は、ほとんど同じ「向き」と「長さ」になるんです。
つまりAIは、「性別が変わる」という概念を、地図上の「特定の方向への移動」として捉えているのです。
これが分かると、言葉の足し算・引き算ができるようになります➕➖
有名な例として、こんな数式が成り立ちます。
「王様(King)」 - 「男(Man)」 + 「女(Woman)」 = 「女王(Queen)」
これを地図上で辿ってみましょう🚶♂️
まず「王様」の地点に立ちます。
そこから「男」という要素(方向)を引き算します(王冠を被った「人」という概念だけ残るイメージ)。
そこに「女」という要素(方向)を足し算して移動します。
すると、たどり着いた場所に何があるか? そう、「女王」がいるんです!👑
これと同じ理屈で、冒頭の謎も解けます。
「ハンバーガー」 - 「アメリカ」 + 「イタリア」 = ??
「ハンバーガー」の地点からスタート🍔
「アメリカ」要素を引く(アメリカっぽさを抜く)🇺🇸↘️
「イタリア」要素を足す(イタリアっぽさを加える)🇮🇹↗️
その座標にある料理は……「ピザ(またはパスタ)」!🍕🍝
面白いですよね!
私たちが「アメリカといえばハンバーガー、じゃあイタリアといえば…ピザかな?」と頭で連想ゲームをしているとき、AIは頭の中で座標の移動(ベクトルの計算)を行っていたんです🧠
AIが「考えている」ように見える正体、それは「言葉の地図の上で、ルート検索をしている」ことだったのです📍
4. AIが見ている世界は「数千次元の宇宙」 🌌

最後に、もう少しだけディープな話を。
先ほど「地図」と言いましたが、私たちが想像できる地図は「縦・横・高さ」の3次元までですよね📦
でも、AIが持っている言葉の地図は、そんな単純なものではありません。
実は、数百〜数千次元(あるいはそれ以上)もある、超複雑な空間なんです!💫
「甘さ」を表す方向
「大きさ」を表す方向
「高貴さ」を表す方向
「生き物かどうか」を表す方向…
こんなふうに、言葉の持つあらゆる特徴(ニュアンス)を表現するために、無数の「軸」を使っています。
だからこそ、AIは複雑な言葉の意味を見分けられます。
例えば「バンク(Bank)」という単語。
英語では「銀行」という意味と、「川の土手」という意味がありますよね🏦🏞️
AIは、周りの単語を見ながら座標を微調整します。
近くに「お金」や「金利」という単語があれば、「金融」の次元に近い座標のBankとして処理する。
近くに「水」や「釣り」という単語があれば、「自然」の次元に近い座標のBankとして処理する。
こうして、何千もの次元を駆使することで、私たちの言葉の微妙なニュアンスや文脈を、数学的に捉えているのです👓
まとめ:AIは「言葉」を「座標」として扱っていた 🧭

第2章のポイントをまとめておきましょう📝
トークン化: AIはまず言葉を「文字の部品」にバラバラにして、「ID番号」に変換する(出席番号を振る)🔢
埋め込み(Embeddings): 言葉を「意味の地図」上の「座標」に配置する🗺️
地図のルール: 意味が似ている言葉は近くに、違う言葉は遠くに置かれる。
言葉の計算: 地図上の移動(ベクトル計算)によって、「ハンバーガーからアメリカを引いてイタリアを足す」といった推論ができる!🍔📐
こうして見ると、AIは「心」を持っているわけではありませんが、私たちが作った言葉の世界を、数学というレンズを通して驚くほど正確に捉えていることが分かります。
「魔法」の正体は、美しくて壮大な「数学」だったんですね🎓
さて、言葉を「地図」に置くことはできました。
でも、これだけではまだ足りないんです。
昔のAIは、この地図を持っていたのに、「長い文章」になると途端にポンコツになってしまいました🤖💦
会話の最初の方をすぐに忘れてしまったり、文脈がチグハグになったり…。
それを劇的に解決し、AIを一気に「天才」へと押し上げた革命的な技術があります。
それこそが、現在最強の脳みそと呼ばれる「Transformer(トランスフォーマー)」です🚀
次回、第3章では、このTransformerがどうやって文章全体を理解しているのか、その秘密に迫ります。
キーワードは、「パーティ会場でのスポットライト」!?🔦
AI進化の核心に迫る次回、どうぞお楽しみに!👋
(次回予告)
第3章:最強の脳みそ「Transformer」 ― AIは何に注目しているのか?
〜昔のAIは記憶喪失だった? 図書館の検索とスポットライトの魔法〜


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