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こんにちは、まーです!
今日は、3Dプリンターユーザーにとって「これはちょっと気になる」というニュースを取り上げます。

2026年2月12日、Googleが「Gemini 3 Deep Think」という科学・工学向けAIの大幅アップデートを発表しました。その中で衝撃的な主張が飛び出しています。
「手描きのスケッチから3Dプリント可能なファイルを生成できる」
これ、本当だったらすごくないですか? 「もうBlender覚えなくていいの?」「Fusion 360いらなくなるの?」って思った人、いると思います。
結論から言うと、今すぐCADツールを捨てる必要はないです。ただし、使い方は変わるかもしれない。

今日は、実際に何が起きているのか、技術的にどういう仕組みなのか、そして僕たち3Dプリンターユーザーにとって何が変わるのかを、事実ベースで整理していきます。
Gemini 3 Deep Thinkって何?
まず「Gemini 3 Deep Think」とは何かを説明しますね。
これは、Googleが開発している「Gemini」というAIの、科学・研究・工学に特化した「推論モード」です。普通のAIがパッと答えを返すのに対して、Deep Thinkは「じっくり考える」モードなんです。
人間の思考に例えると
人間の思考には2種類あります。
繝サシステム1:直感的で高速な思考(会話とか日常的な判断)
繝サシステム2:慎重でゆっくりした思考(数学の問題を解くとか複雑な設計)
Deep Thinkは、この「システム2」をAIで再現しようとしているんです。だから「Deep Think(深く考える)」という名前なんですね。

ベンチマークがすごい
Deep Thinkの性能は、各種ベンチマークで過去最高レベルを達成しています。
| ベンチマーク | Deep Think (2026年2月) | 比較 |
|---|---|---|
| ARC-AGI-2(抽象推論) | 84.6% | 人間は85〜90%程度 |
| Humanity’s Last Exam(学術常識) | 48.4%(ツール不使用) | GPT-5.2: 34.5% |
| Codeforces(競プロ) | Elo 3455 | 「レジェンダリー・グランドマスター」級 |
| 国際数学オリンピック2025 | 81.5% | 金メダル相当 |
| 国際物理オリンピック2025 | 87.7% | 金メダル相当 |
特に注目すべきはCodeforces Elo 3455。これは競技プログラミングの世界で「レジェンダリー・グランドマスター」と呼ばれるレベルで、世界でも数人しかいない最高峰です。

なぜこれが3Dプリンターに関係あるのか? 後で詳しく説明します。
「スケッチから3Dファイル生成」の真相
公式の主張
Googleの公式発表では、Deep Thinkが「手描きのスケッチを分析し、複雑な形状をモデル化し、3Dプリント用のファイルを生成する」と説明されています。
実際の仕組み
ここが重要なポイントです。
Deep Thinkは「直接3Dメッシュを作る」のではなく、「3Dの形を作るプログラムを書く」んです。

たとえば、ラップトップスタンドのスケッチを描いたとします。Deep Thinkはそのスケッチを見て:
分析:「これは平らな面があって、角度のついた支柱があって…」
コード生成:その形を作るためのOpenSCADやPythonのスクリプトを書く
コンパイル:そのコードを実行するとSTLファイルが出てくる
なぜ直接STLを作らないのか
AIが直接3Dメッシュを生成すると、「非多様体(non-manifold)」という問題が起きやすいんです。
繝サ穴が開いている
繝サ面が交差している
繝サ厚みがゼロの部分がある
こういうモデルは、スライサーソフト(CuraやPrusaSlicer)で処理できません。
でも、コードを書いて実行する方式なら、数学的に正確な形が作れる。OpenSCADのコードは「ここに直径10mmの円柱を置いて」「それを20mm押し出して」と論理的に定義されているので、「ウォータータイト(水密)」な、ちゃんと閉じた立体が作れるんです。

研究機関での実績
Deep Thinkはすでに研究の現場で成果を出しています。
デューク大学 Wang研究室
半導体の結晶成長のレシピを最適化。100マイクロメートル以上の薄膜を作ることに成功しました。
これは「形」ではなく「製造パラメータ」を設計した事例。3Dプリンティングで言えば、特定の形状や材料に対するスライサー設定の最適化に相当します。
ラトガース大学 Lisa Carbone教授
技術論文のチェックにDeep Thinkを使用。人間の査読者が見逃していた「微細な論理的欠陥」を発見しました。
これは3D設計で言えば、応力集中や非多様体エッジといった欠陥を、プリント前に見抜く能力と同じです。

現時点での限界
① 出力ファイル形式が不明確
公式は「ファイルを生成」としか言っていません。STLなのか、STEPなのか、それともコードなのか。おそらくコード(OpenSCADやPython)が出力され、ユーザーがコンパイルする必要があると考えられます。
② 寸法の精度
スケッチから形を推測するとき、Deep Thinkは「これくらいの大きさかな」と推測します。「このネジ穴は直径3.2mmじゃないとダメ」みたいな精密な寸法は、スケッチだけでは伝わりません。
③ 強度の問題
Deep Thinkは「形」は分かるけど、「物理」は完全には理解していません。ラップトップの重さを支えるのに十分な太さの支柱かどうかは、別途検証が必要です。

CADは不要になるのか?
僕の答えは、「レベルによる」です。
ホビイストの場合
単純なフックとか、スマホスタンドとか、交換部品みたいなシンプルなものを作りたい人にとっては、参入障壁がめちゃくちゃ下がると思います。
CADを学ばなくても、「こういうの作って」で済むようになる可能性があります。
プロの場合
プロのエンジニアや本格的なモノづくりをする人にとっては、CADスキルは引き続き必要です。
なぜなら、AIが出力するのは「コード」だから。そのコードを読んで、修正して、検証するスキルが必要。形式が変わるだけで、スキル自体は必要なんです。
スキルセットの変化
つまり、スキルセットが変わります。
「マウスで形を操作する」 → 「プロンプトを書いてコードを検証する」
3Dモデリングの「インターフェース」が変わるイメージですね。

未来の展望:エージェンティックCAD
今後、「エージェンティックCAD」の時代が来ると僕は思っています。
エージェンティックCADとは
AIが自動で「生成→検証→修正」のループを回す仕組みです。
たとえば:
ユーザーがドローンのフレームをスケッチする
AIが形状を生成する
別のAIモジュールが強度シミュレーションを実行して「ここ弱いですよ」と指摘
AIが自動で修正する
検証済みのプリント可能なファイルが出力される
すでに動きはある
Fusion 360のGenerative Designとか、BlenderのAI機能など、すでに兆しはあります。
Deep Thinkの「汎用推論能力」があれば、もっと自然な指示ができるようになるでしょう。
繝サ「攻撃的な見た目にして」
繝サ「サポート材なしでプリントできるように最適化して」
こういう曖昧な指示を理解できるようになる可能性があります。

今すぐできること
① OpenSCADを学んでおく
これからのAI時代では、「プログラム的CAD」の知識が武器になります。OpenSCADは無料で、入門に最適です。
AIが生成するコードを「読める」ようになれば、あなたは「スーパーユーザー」になれます。
② Gemini APIの申請を検討する
Deep Thinkは今、Google AI Ultraの契約者とAPI申請者に提供されています。興味がある人は、早めにアクセス申請しておくといいかも。
③ 過度な期待をしない
「もうBlender要らない!」と思って学習をやめちゃうのはもったいない。今の段階では、あくまで「補助ツール」。メインの設計スキルは引き続き磨いておくべきです。

まとめ
Gemini 3 Deep Thinkは、「スケッチから3Dファイル生成」という革命的な機能を持っています。
ただし、直接メッシュを作るのではなく、コードを生成する仕組み。
CADが不要になるわけではありません。むしろ、「使い方」が変わります。
繝サマウス操作からプロンプトとコード検証へ
繝サホビイストには参入障壁が下がる
繝サプロにはスキルセットの変化が求められる
今日のアクション3つ
OpenSCADに触れてみる(無料、プログラム的CADの入門に最適)
Gemini APIへのアクセス申請を検討する
過度な期待をせず、今のスキルを磨き続ける
みなさんは、AIが3Dモデリングにどこまで入ってくると思いますか? 「もうCAD要らない」派? 「まだまだ人間の出番」派? コメントで教えてください!
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