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こんにちは、まーです!
今日はちょっと衝撃的なテーマです。A1 miniで印刷してたら、突然Beep音が鳴って、何だと思ってプリンターを見に行ったら、フィラメントがエクストルーダーから完全に抜けてるんですよ。
しかもこれ、手でフィラメントを押し込むと一時的に再開するんですけど、しばらするとまた抜ける。同じ経験をしている方、結構いるんじゃないですか?
実はこの問題、Bambu Lab公式フォーラムでもかなりの報告例があるんです。日本語圏でもNoteやQiitaなどで「A1 miniでフィラメントが詰まる」「途中で止まる」という記事が見つかります。
今日から3回にわたって、この「フィラメントが途中で抜ける問題」を徹底的に掘り下げます。
今日の構成

今日は原因編として、3つのパートでお話しします。
①僕に実際に起きた症状の詳しい説明。
②フィラメントが「抜ける」物理的なメカニズム。なぜ「詰まる」じゃなくて「抜ける」のか、ここが面白いんです。
③原因を一つずつ全部洗い出します。段ボールスプール、スプールホルダーの設計、eSUNの品質問題、エクストルーダー、ホットエンド、PTFEチューブ、フィラメント自体の問題、センサー、ファームウェアまで。全部やります。
パート1:まーさんの体験

使っていたのはeSUNのPLA+。段ボールスプールのやつです。これをA1 miniの純正スプールホルダーにそのまま載せて印刷してました。
最初の数回は問題なかったんですけど、フィラメントを40%くらい使ったあたりから、印刷途中でBeep音が鳴るようになりました。
見に行くと、フィラメントがエクストルーダーから完全に抜けてる。先端がプラプラしてるんです。
「あれ?」と思って手でフィラメントを押し込むと、ギアが噛み直してくれて印刷再開。でも30分後にまた同じことが起きる。
この「手で押すと直るけどまた再発する」というのが、この問題の一番の特徴なんですよね。
結論を先に

先に結論を言ってしまいます。
僕の仮説は「段ボールスプールの回転抵抗が大きすぎて、エクストルーダーのギアがフィラメントを掴みきれなくなる」というものでした。今回の調査でも、有力な仮説として裏付けられました。
でも、原因はそれだけじゃありません。段ボールスプールの摩擦、A1 miniのスプールホルダーにベアリングがないこと、eSUNのフィラメントの巻き品質。この3つが組み合わさった「複合的な問題」なんです。
さらに、エクストルーダーのギア摩耗やホットエンドの詰まりなど、他の原因が重なると、より深刻になります。
パート2:なぜ「抜ける」のか
綱引きのたとえ
まず、印刷中にフィラメントに何が起きているかを「綱引き」にたとえて説明しますね。
エクストルーダーのギアがフィラメントを「引っ張る側」。スプールの回転抵抗が「引き留める側」。普通はエクストルーダーの力が勝って、フィラメントがスムーズにスプールから引き出されます。
でも、スプールの抵抗がどんどん大きくなったらどうなるか。
エクストルーダーのギアは必死にフィラメントを掴もうとするけど、抵抗に負けてギアがフィラメントの表面で「滑る」んです。ツルツルっと空回りする。
ここまでは「フィラメントが送れなくなる」で終わりそうですよね。でも実際に起きるのは「抜ける」。なぜか。
バネの原理

ここがポイントです。
フィラメントはスプールからエクストルーダーまでの間、常に張力がかかっています。スプールの抵抗で引っ張られている状態なんです。
これは伸ばしたゴムバンドと同じです。ゴムバンドを引っ張った状態で手を離すと、ビヨンと元に戻りますよね。
ギアが滑った瞬間、フィラメントを掴んでいた力がなくなります。すると、スプール側の張力でフィラメントがスプール方向にビヨンと引き戻されるんです。これが「抜ける」の正体。
「詰まって止まる」んじゃなくて、「滑って戻される」。
だから手で押し込むと、ギアがフィラメントの新しい面、つまりまだギアの跡がついていないフレッシュな面に噛み直して、一時的に復活する。でも次の抵抗スパイクが来たら、また同じことが繰り返されるんですね。
パート3:原因を全部洗い出す
原因A:段ボールスプールの摩擦
まず一番よく指摘されている原因、段ボールスプールです。
プラスチックスプールと段ボールスプールでは、摩擦が全然違います。段ボールの表面はザラザラしていて、スプールホルダーのペグに対して大きな摩擦を生みます。プラスチックスプールはツルツルなので、ホルダーの上でスイスイ回るんですけど、段ボールはそうはいかない。
さらに厄介なポイントが4つあるんです。
①段ボールの側壁(フランジ)が曲がって、スプールホルダーに接触して回転を妨げることがある。海外フォーラムでも「スプールの端がほんの少し曲がっていてホルダーに接触して、印刷がほぼ止まった」という報告があります。
②回転中に段ボールが削れて粉塵が発生します。この粉がメカニズムに入り込んで悪影響を与える。

③湿気の問題。段ボールは紙ですから、湿気を吸うんですよね。吸湿した段ボールが膨らんで、アダプターに対してきつくなる可能性があるんです。日本の梅雨時期なんか、これ相当効いてくると思います。
④フィラメントの残量が減ると、段ボールスプールはプラスチックスプールよりもさらに軽くなります。軽くなるとエクストルーダーが引っ張る力でスプールごと持ち上がってしまう。持ち上がったスプールが変な角度になって、さらにフィラメントが引っかかりやすくなるんです。
あと夏場は段ボールスプールの接着テープが高温で剥がれるという報告もあります。
最近は環境配慮で段ボールスプールを採用するメーカーがどんどん増えています。eSUN、Polymaker、Sunluなど。良いことなんですけど、こういう問題があるんですよね。
原因B:A1 miniスプールホルダーの設計限界

2番目の原因は、A1 miniの純正スプールホルダーの設計です。
A1 miniのスプールホルダーは、Z軸の柱に取り付ける単純なペグ型です。シンプルでコンパクトなのはいいんですけど、「ベアリング」が入っていないんですよね。
ベアリングって何かというと、回転する部品の摩擦を減らすための部品です。自転車のホイールとかスケートボードの車輪の中に入っているやつ。
A1 miniのスプールホルダーにはそれがないので、スプールの内穴とペグの表面の摩擦だけで回転する設計なんです。
プラスチックスプールなら、表面が滑らかなのでこれでも十分に機能します。でも段ボールスプールになると、摩擦が一気に増大する。
つまり、このスプールホルダーはプラスチックスプール前提の設計で、段ボールスプールでは相性問題が出やすい構造なんです。
原因C:eSUN固有の巻き品質問題

3番目の原因、eSUNのフィラメント固有の問題です。
eSUNのフィラメント自体の品質は悪くないんです。PLA+はコスパも良くて人気がある。でも「巻き方」に大きな問題があります。
多くのユーザーが報告しているのが、「フィラメントを40%から60%くらい使ったあたりで、突然引っかかり始める」という現象です。
原因は、フィラメントの下層の巻きが、外側の2〜3層の下に埋もれてしまっていること。フィラメントを巻き取る機械が急な傾斜で巻いているため、ループが滑り落ちて、フィラメント同士が交差する「クロスオーバー」が生まれるんです。
これが突発的な抵抗スパイクを生み出します。スムーズに回っていたスプールが突然「ガッ」と止まる。
綱引きにたとえると、相手チームがいきなり全力で引っ張ってきたようなもの。エクストルーダーのギアにとっては不意打ちなんです。
原因D:エクストルーダーギアの摩耗

4番目の原因はエクストルーダーのギアです。
A1 miniのエクストルーダーには、フィラメントを掴んで送り出すためのギアが入っています。黄色い樹脂製のギアなんですけど、これは消耗品です。
長期間使っていると歯が摩耗して、フィラメントをしっかり掴めなくなります。歯がツルツルになったギアでフィラメントを送ろうとしても、スプールの抵抗に負けてしまう。
もう一つ要注意なのが、スプリングリテーナーという小さな金属キャップです。エクストルーダーを分解した時にうっかり落として紛失する人が結構いるんです。これがなくなると、駆動輪とギアの間隔が開きすぎて、フィラメントを十分な力で掴めなくなります。
あとは単純に、ギアの歯にフィラメントの削りカスが詰まってグリップが低下するケース。これは清掃だけで解決するので、定期的にチェックしてみてください。
原因E:ホットエンドの詰まり

5番目、ホットエンドの詰まりです。
ノズルの内部にフィラメントの残留物が少しずつ蓄積していくと、フィラメントの通り道が狭くなって「背圧」が上がります。背圧というのは、フィラメントを押し出す時にかかる抵抗のことです。
特に注意が必要なのが「ヒートクリープ」という現象。これはフィラメントが本来溶けるべきでない場所、つまりヒートブレイクと呼ばれる冷却ゾーンの部分で軟化してしまって、ノズルまでのパイプが詰まってしまう現象です。
背圧が上がるとエクストルーダーのギアは、「ノズルの背圧」と「スプールの抵抗」の合計の力に対抗しないといけなくなる。
段ボールスプールの摩擦だけなら耐えられたかもしれないけど、ホットエンドの詰まりが加わると、ギアの限界を超えてしまう。これが「複合的な問題」の怖いところなんです。一つ一つは小さな問題でも、重なると大きなトラブルになる。
原因F&G:PTFEチューブとフィラメントの問題

6番目と7番目の原因をまとめて説明します。
まずPTFEチューブの問題。PTFEチューブはフィラメントがスプールからエクストルーダーまで通るガイドチューブです。ここに折れたフィラメントの破片が残っていたり、チューブが急に曲がっていたりすると、フィラメントの通過抵抗が増大します。
A1 miniの純正チューブの長さは、スロット1と2が580mm、スロット3と4が700mmです。交換する時はこの長さを守ってください。
次にフィラメント自体の問題。一部のフィラメントは表面の特性上、ギアが滑りやすいものがあります。PLA Aeroに至っては、Bambu Lab自身が公式に「ギア摩耗とスリップの影響を受けやすい」と認めています。
吸湿したフィラメントは脆くなって、エクストルーダー内部やPTFEチューブの中で折れやすくなります。
原因H&I:センサーとファームウェア

最後に、見落としがちな原因を2つ。
8番目、フィラメントセンサーの不良。A1 miniにはホール効果センサーが搭載されていて、フィラメントの有無を検知しています。このセンサーが壊れると、フィラメントがちゃんとあるのに「ない」と誤検知して印刷が停止します。交換部品は約8ドルでBambu Lab公式ストアから購入できます。
9番目、ファームウェアのノズルサイズ不一致。プリンターの設定で指定されているノズルサイズと、実際に取り付けられているノズルが違うケースです。たとえば0.4mmノズルなのに設定が0.6mmになっていると、押し出し量の計算がずれて、フィラメント送りに問題が出ます。
HMSエラーコードの読み方

A1 miniがエラーを出した時、画面にHMSエラーコードが表示されることがあります。代表的なのが「1200-2000-0002-0006」。これが出たら、フィラメントの押し出し失敗です。
エラーコードが出たら、Bambu Lab公式Wikiでそのコードを検索すると、原因と対策が詳しく載っています。URLは概要欄に貼っておきますね。
まとめ:原因の全体像
今日は「A1 miniでフィラメントが途中で抜ける問題」の原因を徹底的に解剖しました。
整理すると、原因は9つ。
①段ボールスプールの高い摩擦
②A1 miniのスプールホルダーにベアリングがないこと
③eSUNのフィラメント巻き品質の問題
④エクストルーダーギアの摩耗
⑤ホットエンドの詰まり
⑥PTFEチューブの劣化
⑦フィラメント自体の特性
⑧フィラメントセンサーの不良
⑨ファームウェアのノズルサイズ不一致
原因は一つじゃなくて、これらが複合的に絡み合っています。
でも、フォーラムの報告を見る限り、特に多く挙げられているのは「段ボールスプールの摩擦」+「ベアリングなしスプールホルダー」+「eSUNの巻き品質」の3つの組み合わせです。ここを対策するだけで改善したという報告がかなりあります。
次回予告

次回は対策編です。ビニールテープ巻きのコストゼロ対策から、608ベアリングを使ったスプールホルダー改造、eSUN公式でも紙スプール向けに配布しているアダプター、エクストルーダーのメンテナンス方法まで、全部お話しします。
さらに第3回ではメンテナンス完全ガイドとして、業界の常識を覆すWD-40の話や、ビルドプレートの正しい掃除方法もお伝えします。
エンディング
このチャンネルでは、Bambu LabのA1 miniなどの3Dプリンターを中心とした技術などを毎日更新でお伝えしてます。
では、また次回。
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