IPAが手に入らない!中東情勢と光造形3Dプリンターユーザーへの影響を整理する🔍

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> 光造形3Dプリンターに欠かせない洗浄液IPAが品薄に。中東情勢の悪化からホルムズ海峡の通航制限、原油→ナフサ→IPAへの波及メカニズムを整理し、今後のシナリオと光造形ユーザーが今できることをまとめました。

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光造形ユーザーの方、最近AmazonでIPA検索しましたか?在庫切れや価格上昇が目立ち始めています。

こんにちは、まーです!

今日はちょっといつもと違うテーマでお届けします。光造形3Dプリンターに欠かせない洗浄液「IPA」、イソプロピルアルコールが手に入りにくくなっている問題についてです。

「え、なんで?」って思いますよね。背景には2月末から悪化した中東情勢があるとみられています。3Dプリンターと中東の情勢がどう繋がるのか、今回は「なぜ不安が広がっているのか」を整理していきます。

ただし、供給への影響は流通経路や販売店によっても違うので、あくまで全体の構造を理解するための記事だと思って読んでくださいね。

今回お話しする内容は3つです。

①何が起きているのか。2月末からの中東情勢の時系列

②なぜIPAの調達不安が広がっているのか。原油からIPAまでのサプライチェーンの仕組み

③今後どうなりそうか。現時点で分かっている見通しの整理

そもそもIPAって何?

まずIPAを知らない方のために簡単に説明しますね。IPA、正式名称はイソプロピルアルコール。光造形3Dプリンターで造形した後、表面に残った未硬化レジンを洗い流すのに使う洗浄液です。

光造形ユーザーにとっては消耗品の中でも一番使用量が多くて、1回の洗浄で数十mlは使います。今まではAmazonで4Lが2,000円前後で普通に買えていたので、「わざわざ在庫を気にする」なんて発想すらなかったと思います。

Amazonでの異変 ─ 価格と在庫の変化

実際にAmazonでどうなっているかというと、以前は4Lで1,500〜2,000円程度だったIPAが、3月に入ってから在庫切れや納期長期化が見られる商品が出てきています。残っている出品も価格が上がっていて、すべてが買えないわけではありませんが、以前より選びにくくなっている印象です。

SNSでも「IPA買えない」「いつの間にかこんな値段に?」という投稿をよく見かけるようになりました。じゃあなぜこうなっているのか。ここからは背景を時系列で追っていきます。

何が起きたのか ─ ホルムズ海峡の通航制限

2月28日の米国・イスラエルによる対イラン攻撃以降、イランがホルムズ海峡で通航を厳しく制限し、エネルギー輸送の不安が一気に高まりました。

ホルムズ海峡とは ─ なぜ重要なのか

ホルムズ海峡って聞いてもピンとこないかもしれませんが、ペルシャ湾の出入口にある狭い水路で、世界の石油輸送の約2割がここを通るとされています。

複数の報道によると、海峡を通過する船舶数は平時から大幅に減少していて、多数の船が湾内で足止めされている状態だそうです。日本は原油輸入の多くを中東に依存しているので、この状況が長引けば影響が出てくる構造なんですよね。

イランの通航許可制と国際社会の対応

イランは海峡を完全に閉鎖したわけではなくて、船舶によって通航可否を選別する運用をしていると報じられています。友好国の船は通すけれど、米国や同盟国関連の船は制限する、という形です。

これに対して各国は外交交渉や国際協調を通じて事態の沈静化を模索していますが、早期解決は見通しにくい状況です。

なぜIPAの調達不安が広がるのか ─ サプライチェーンの仕組み

ここからが本題です。なぜ中東の情勢悪化でIPAの調達不安が広がるのか。

IPAの製造プロセスはこうなっています。原油を精製して「ナフサ」という成分を取り出す。そのナフサを分解して「プロピレン」を作る。プロピレンに水を反応させてIPAになる。つまりIPAの大元は原油なんですよ。

ナフサの在庫事情

日本は原油やナフサの多くを中東地域からの輸入に頼っています。ナフサは石油化学製品の重要原料で、中東依存度が高い一方、政府は3月17日時点で、代替輸入や国内精製も含めて約4か月分相当を確保できると説明しています。

ただ、物流や調達コストの不安が意識されやすい状況で、先行きに不安を感じるメーカーや流通が動き始めているという見方が出ています。

石油化学業界への影響懸念

国内の石油化学業界では、原料や物流の先行き不安が意識されていて、今後の生産や調達に警戒感が高まっています。IPAを販売している企業の中にも、在庫状況が厳しくなっているところがあるようです。

Amazonなどで在庫切れが目立つのは、こうした供給側の不安に加えて、流通や販売店レベルでの在庫調整も影響している可能性があります。ただし、すべてのメーカーが一律に同じ状況ではないので、企業や製品によってかなり差がある点は押さえておいてくださいね。

IPAだけじゃない ─ 溶剤全般への波及懸念

実はIPAだけの話じゃないんですよね。IPA以外にも、石油化学由来の溶剤や材料には影響が波及する可能性があります。アセトンやトルエンなど、3Dプリンターユーザーにも馴染みのある溶剤も石油化学製品ですから、ナフサの供給不安が続けば幅広く影響が出てくるかもしれません。

3Dプリンター以外への影響

3Dプリンター以外でも、塗装業界や自動車部品、食品包装など幅広い分野に波及しうる話なんですよね。ガソリン価格も上昇傾向で、これは3Dプリンターだけでなく日本全体のエネルギー問題として捉える必要があります。

レジンの原料も石油由来なので、IPAだけじゃなくレジン価格にも影響が出てくる可能性は頭に入れておいたほうがいいかもしれません。

いつ復活するのか ─ 3つのシナリオ

じゃあIPAの調達状況はいつ安定するのか。正直に言うと、見通しは不透明です。今後のシナリオは大きく3つ考えられます。

①シナリオA「膠着継続」 ─ 交渉が長引いて、現状のような不安定な状態がしばらく続く。IPAの品薄傾向や価格上昇が続く可能性がある

②シナリオB「エスカレーション」 ─ 軍事衝突がさらに拡大して、通航制限がより厳しくなる。この場合、原油価格の急騰や石油化学製品のさらなる調達難が懸念される

③シナリオC「停戦・海峡再開」 ─ これが一番望ましいんですけど、仮に再開しても物流が正常化するまでにはある程度の時間がかかるとみられている

いずれにしても、短期で「Amazonにまた普通に並ぶ」という状況にはなりにくそうだというのが、現時点での見方です。

日本政府の対応

日本政府も手をこまねいているわけではなくて、3月に入ってからIEA協調のもとで石油備蓄の放出を進めています。一方で、ナフサについては3月17日時点で供給に問題は生じていないと説明しています。

また、ホルムズ海峡を通らない代替ルートでの原油輸送も始まっているようですが、輸送コストは大幅に上がるためコスト面の課題があります。根本的な解決にはホルムズ海峡の通航正常化が必要で、それには外交的な進展が不可欠です。

光造形ユーザーが今できること

不安になるかもしれませんが、光造形をやめる必要はまったくありません。大事なのは「IPAがないと光造形ができない」と思い込まないこと。代替品はちゃんとあります。

次回の第2回では、エタコール7、3Dメディカルクリーン、Prusaの新しいDPM洗浄液、水洗いレジンまで、全部比較してお伝えしますので、セットで読んでいただけると嬉しいです。

まとめ

今日のポイントを3つにまとめます。

①IPAが手に入りにくくなっている背景には、中東情勢の悪化によるエネルギー・物流不安がある。ホルムズ海峡の通航制限で、原油やナフサの調達環境が不安定になっている

②いつ安定するかは不透明。膠着が続くのか、エスカレーションするのか、停戦に向かうのかで状況が大きく変わる

③IPAだけの問題じゃない。溶剤全般や石油化学製品に波及しうる、日本全体のエネルギー問題として捉える必要がある

今日は3Dプリンターとは一見関係なさそうな中東情勢の話でしたけど、光造形ユーザーにとっては洗浄液が手に入りにくいって困りますよね。でも代替品はちゃんとありますので、次回を読んでもらえれば安心できるはずです。

では、また次回。

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画像挿入マップ(編集用メモ)

| 画像ファイル | 挿入位置 | 内容 |

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| scene/001.png | H1直後 | フック ─ IPA品薄の衝撃 |

| scene/002.png | オープニング | テーマ紹介 |

| scene/003.jpg | 今日の構成 | 3つのポイント |

| scene/004.jpg | そもそもIPAって何? | IPA=イソプロピルアルコール |

| scene/005.png | Amazonでの異変 | 価格上昇・在庫切れ |

| scene/006.jpg | ホルムズ海峡の通航制限 | 2月28日以降の経緯 |

| scene/007.jpg | ホルムズ海峡とは | 世界の石油輸送の約2割 |

| scene/008.png | イランの通航許可制 | 選別的な通航管理 |

| scene/009.jpg | サプライチェーンの仕組み | 原油→ナフサ→プロピレン→IPA |

| scene/010.jpg | ナフサの在庫事情 | 約4か月分確保 |

| scene/011.jpg | 石油化学業界への影響 | 業界の警戒感 |

| scene/012.png | 溶剤全般への波及 | IPAだけじゃない |

| scene/013.jpg | 3Dプリンター以外への影響 | 日本全体のエネルギー問題 |

| scene/014.jpg | 3つのシナリオ | 膠着・エスカレーション・停戦 |

| scene/015.jpeg | シナリオBとC | エスカレーション vs 停戦 |

| scene/016.jpg | 日本政府の対応 | 備蓄放出・代替ルート |

| scene/017.jpg | 光造形ユーザーが今できること | 代替品の存在 |

| scene/018.png | まとめ | 3つのポイント |

| scene/019.jpg | エンディング | 次回予告 |

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